大阪市立大学のがんに対する取り組み
大阪市立大学大学院医学研究科および医学部附属病院では、個々の組織で様々な研究テーマに取り組むと同時に、全組織横断的な取り組みも積極的に展開しています。
熱心な研究によって開発された新たな診断法や治療法を、臨床へ応用し、より多くの患者様のがんを根治することを目指すとともに、機能温存療法や低侵襲な手術、緩和ケアなど、患者様のQOLの向上も重要なテーマとして位置付けて取り組んでいます。
大学院医学研究科での取り組み
大学院医学研究科は、基礎医科学分野と臨床医科学分野の2つの分野の下、大講座と専門講座で体系化されています。
がんを対象とした研究テーマには以下の様なものがあり、日々新たな研究テーマへの取り組みも始まっています。
  
基礎医科学分野
分子生体医学大講座
  • 発がんへの関わりが強いと示唆されるS1タンパク質、S1-1タンパク質の研究
  • ヒトiPS細胞を用いた損失機能の修復
  • 白血球の増殖・分化・機能・細胞死の制御機構並びにその破綻と疾患との関連についての研究
都市医学大講座
  • 発がん機序、発がん物質、がん予防物質の研究と開発
  • がん検診の有効性評価
老年医科学大講座
  • 難治がんに対する分子標的治療法、化学療法、新規バイオマーカーの研究
 
臨床医科学分野
臓器器官病態内科学大講座
  • 肺がん、悪性胸膜中皮腫等の胸部悪性腫瘍に対する化学療法、放射線治療等の研究
  • 肝がんに対する化学療法、ラジオ波焼灼療法、腹腔鏡下切除術、画像診断装置の高度活用等の研究
  • 消化器がんに対する内視鏡的粘膜切開剥離術(ESD)の研究、抗癌剤の感受性試験の研究
  • 悪性リンパ腫、白血病に対する造血幹細胞移植療法、化学療法
病態診断・生体機能管理医学大講座
  • 各種がんに対するVMAT(強度変調回転原体照射術)、動脈塞栓術、ラジオ波焼灼術の研究
  • PETによるがんの診断、甲状腺がんに対する放射性ヨード内用治療の研究
生殖発達医学大講座
  • 婦人科悪性腫瘍に対する低侵襲治療の研究、化学療法、放射線療法の研究
臓器器官病態外科学大講座
  • がんの増殖機序や転移機序に基づく治療法の開発
  • 腫瘍関連抗原、がん遺伝子、がん抑制遺伝子の同定と臨床応用
  • 膵がんに対するモノクローナル抗体を用いた診断の研究
  • 食道がんに対する胸腔鏡下根治術の研究
    肝臓がん、肝臓内胆管がんに対する低侵襲治療法の研究
  • 去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)の獲得機序の解明および新規治療ターゲットの開発
  • 膀胱がんに関する尿中マーカーの探索
  • 腎細胞癌に関する癌抗原ペプチドを用いたワクチン治療、ユビキチン様蛋白NEDD8を制御する分子をターゲットとした遺伝子治療の開発
感覚・運動機能医学大講座
  • 進行期悪性黒色腫への経皮免疫療法の研究
    頭頸部悪性腫瘍における結核菌熱水抽出物Z-100(アンサー20TM)を用いた免疫療法の研究
    脳神経外科領域における頭蓋底手術の開発
医学部附属病院での取り組み
医学部附属病院では、各診療科で最新の研究成果や新しく開発された診断法・治療法などを積極的に導入している他、組織横断的(集学的)ながんに対する取り組みも積極的に展開しています。
 
地域の拠点病院としての取り組み
  • 平成21年4月より、地域がん診療連携拠点病院に指定を受け、地域におけるがん治療の水準向上に努めています。
      
患者総合支援センター
  • がん患者にとっては、治療だけでなく、心のケアや情報提供という側面からも支援が必要です。医学部附属病院では、患者が必要とする様々な医療サービスや情報を1つの組織に統合することにより、がん患者がよりスムーズに、より適切な医療サービスを利用できるようにするため、平成23年4月に患者総合支援センターを設立しました。
      
化学療法センター
  • 外来(日帰り)での抗がん剤治療を、安心して受けていただけるように、抗がん剤治療に精通した医師、看護師、薬剤師等からなる化学療法センターを平成18年4月に開設しました。
      
放射線治療科・中央放射線部
  • がんの放射線治療の中心となる組織であり、各診療科と連携しながら、最先端の放射線治療設備を駆使した放射線治療を行います。